不活化ポリオワクチンについてのFAQに加え、概要説明を更新致します。接種前に必ずご覧いただき、保護者の皆さまでご検討ください。

なお、本説明は、千葉県立佐原病院の「不活化ポリオワクチン接種について」と、大阪府富田林市のふじおか小児科の「不活化ポリオ説明書」を参考にさせていただきました。

(最終改訂:2011年11月27日)

1. ポリオ(急性灰(かい)白(はく)髄炎(ずいえん)、いわゆる「小児まひ」)について~現在の日本では流行していません~

・ ポリオウイルスによって起こる感染症です。まひが起こると、主に足の筋力低下や筋肉萎縮(いしゅく)が後遺症として一生残ります。

・ 日本では1981年から30年以上、野生のポリオウイルスによるポリオ患者の報告はありません。世界では、パキスタン、アフガニスタン、インド、ナイジェリアが流行国であり、近隣の国々(タジキスタン、コンゴ、アンゴラ、セネガル、ロシア、中国など)では流行が起こっています。これらの国々から日本に野生のポリオウイルスが持ち込まれる危険性はゼロではありません。

2. ポリオワクチンについて~経口生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります~

1)経口生ワクチンは主にポリオの流行している国・地域で使われる飲むワクチンで、ポリオの流行を抑えるためには非常に有効なワクチンです。生ワクチンに含まれるウイルスは生きていて、ワクチンを飲んだ人の腸の中で増えて効果を発揮します。ウイルスの病原性(毒性)を十分に弱めて作られていますが、腸の中で増える間に病原性を強めることがあります。

[ 経口生ワクチンの利点 ]

効果が早い。1回目でほぼ免疫がつき、2回目で生涯免疫ができる。発病を抑えるだけでなく、感染そのものを抑えることができるので、流行を抑えることができる。注射をしなくてよい。値段が安い。

[ 経口生ワクチンの欠点 ]

非常にまれに、ワクチンを飲んだ人や周りの人がポリオを発病し、麻痺が残ってしまうことがある。100万回から400万回に1回程度。発症してしまったら治療法はない。

2)不活化ワクチンは主にポリオの流行していない国・地域で使われる注射のワクチンで、ポリオの発症を予防するには効果的なワクチンです。不活化ワクチンに含まれるウイルス成分は、製造過程で病原性(毒性)を完全になくしています。

[ 不活化ワクチンの利点 ]

生ワクチンのようなワクチンによるポリオの発病、麻痺が絶対に起こらない。

[ 不活化ワクチンの欠点 ]

1回目では免疫がつかず、注射による複数回の接種が必要。流行を抑える力は弱い。生ワクチンより値段が高い。

・ 日本と同じように野生のポリオウイルスによるポリオの発症がない世界の国々では、経口生ワクチンによるポリオの発症を防ぐために、1990年代後半から経口生ワクチンを不活化ワクチンに切り替えてきました。

・ 日本でも不活化ワクチンに切り替わっていてもよさそうなものですが、国内で承認されているワクチンは現時点では経口生ワクチンしかありません。先進国でいまだに経口生ワクチンを使用しているのは日本だけです。

・ 日本でも不活化ポリオワクチンを開発中ですが、ポリオと三種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風)を併せた四種混合ワクチンです。すでに三種混合ワクチンを完了した児には使用することができません。

3. 不活化ポリオワクチンの接種方法について

1)経口生ワクチンを接種しない場合

4〜8週間隔で不活化を2回、1歳から1歳半(2回目から6か月後に)で3回目、4〜6歳頃に4回目の計4回接種します。

2)経口生ワクチンと不活化ワクチンの両方を接種する場合:

・経口生ワクチンによるポリオ発症を防ぐためには、生ワクチンを接種する前に、不活化ポリオワクチンを2回接種しておく必要があります。不活化ワクチンは、生後2か月から接種できます。

・現時点では、不活化2回、経口生2回の計4回の接種をお勧めいたします。

・接種間隔は、4〜8週l間隔で不活化ワクチンを2回、その半年後(2か月〜1年後)に経口生ワクチン1回目、4歳頃に経口生ワクチン2回目の計4回接種します。

3)経口生ワクチンを1回接種している場合

(1) 経口生ワクチン2回、不活化ワクチン2回の場合

経口生ワクチン後4週以上空けて、8週間隔で不活化ワクチンを2回、半年後に経口生ワクチン2回目の計4回接種します。

(2) 経口生ワクチン1回、不活化ワクチン3回 (=残り3回を不活化ワクチンにしたい場合)

経口生ワクチン後4週以上空けて、8週間隔で不活化ワクチンを2回、4歳頃に不活化ワクチン1回、計4回接種します。

4)経口生ワクチンを2回接種している場合

(経口生ワクチンによるポリオ発症を防ぐためではありませんが、例えば、留学などで世界の標準である4回接種を希望する場合のみ)経口生ワクチン後4週以上空けて、8週間隔で不活化ワクチンを2回の計4回接種します。

4. 不活化ポリオワクチン接種の副反応について

・ 軽い副反応:接種部位が赤くなる、はれる。発熱があるなど。これらの症状は通常数日で自然に軽快します。

・ まれな重い副反応:非常にまれに、ショック、アナフィラキシー反応を起こす可能性があります。

5. 予防接種による健康被害救済について

・ ワクチン接種によって引き起こされた副反応により、重い健康被害が生じた場合には、輸入商社(RHCまたはMONZEN)の「輸入ワクチン副作用被害救済制度」による補償を受けることができます。

・ 不活化ポリオワクチンは、日本では承認されていないので、国からの保証はありません。そのため、予防接種法や独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく給付を受けることはできません。

6. 接種前の注意事項 (以下の場合には予防接種をうけることができません)

1)以下の感染症にかかった場合は、接種するまでの期間にご注意ください。

・診断から4週間以上あけてから接種するもの:麻しん、風しん、おたくふくかぜ、水ぼうそう

・診断から2週間以上あけてから接種するもの:伝染性紅斑(りんご病)、手足口病、突発性発疹

・診断から1週間以上あけて、かつ症状が消失しているもの:流行性角結膜炎、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、乳幼児嘔吐下痢症(ロタ、ノロなど)

 - 症状が消失していたら接種可能なもの:マイコプラズマ肺炎、百日咳、溶連菌感染症

2)以下の場合には、接種ができません。

・明らかな発熱(37.5℃以上)がある場合や重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな場合

・予防接種液の成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある場合

・その他、医師が不適当な状態と判断した場合

7. 接種後の注意事項

・ 接種後30分間はアナフィラキシーを起こす可能性がありますので、院内に30分待機していただきます。

・ 接種後に高熱やけいれんなどが起こった場合は、すみやかに医師の診察を受けてください。

・ 接種部位は清潔に保ちましょう。接種後1時間たてば入浴できますが、接種部位を強くこすらないようにしましょう。