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ゆめげんクリニック・プロジェクト

メールマガジン Vol.3

2008年1月1日発行

━━☆ 夢現 ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ゆめげんクリニック・プロジェクト メールマガジン Vol.3

http://jin-i.com/yumegen
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みなさま、こんにちは。
ゆめげんクリニック・プロジェクト事務局の中山です。

本メールマガジンは、「ゆめげんクリニック・プロジェクト」の
ホームページまたはメルマガポータルサイト「まぐまぐ」から
ご登録いただいたみなさま及びパートナー企業・医療機関のみなさま、
そして、当法人事務局スタッフが名刺交換させていただいたみなさまに
お送りしている情報メールマガジンです。

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● もくじ
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【1】はじめに

【2】今月のテーマ:ロンドン大学 衛生・熱帯医学部

【3】ゆめげんドア

● 編集後記

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【1】はじめに
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みなさま、

あけましておめでとうございます。

ゆめげんメールマガジン第3号をお送りいたします。

予定では、昨日の大晦日に発行する予定だったのですが、1日遅れてしまい、
申し訳ございません。

さて今日は、イギリスの医学系大学院についてのお話です。

留学を考えているけれど、学校の施設状況や入学の難易度やクラスの雰囲気、
授業の満足度やコースで出される課題など「生の情報」が不足していて困っている、
という方は結構いらっしゃると思います。

今日のテーマは、このように留学を考えている方々や、イギリスの高等教育の
状況についてご関心のある読者には、特にお役にたてる情報ではないかと思います。


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【2】今月のテーマ:ロンドン大学 衛生・熱帯医学部
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みなさま、あけましておめでとうございます。
旧年中は、大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、ゆめげんクリニックでは、将来、家庭医に加えて感染症に
関する疾患についてより専門的な医療サービスを提供できるようにしたい
と考えています。

また、海外旅行をする際の健康管理に関するアドバイス(旅行医学)も
充実させていければと思っています。

さらに、国内のクリニックを拠点に発展途上国に対する医療協力や
医療人材の育成もやっていきたらいいなと思っています。

そのために現在、感染症や国際保健について勉強をしています。

そこで、今回は私が在籍しているロンドン大学衛生・熱帯医学校
(London School of Hygiene and Tropical medicine: LSHTM)について
ご紹介したいと思います。


■ LSHTMの歴史
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なぜ、英国で、しかもLSHTMでなければならなかったのか。

英国は歴史的に熱帯地方と強いつながりがあった為、その関連の学問が
発展してきたという歴史があります。

医学については、熱帯植民地における英国人の健康を守るという趣旨
からLSHTMが開設されました。

この学校の歴史は、19世紀初頭にできた船員病院にさかのぼります。


1899年にロンドン大学熱帯医学校(London School of Tropical Medicine)
として設立され、その後1929年に衛生学校(School of Hygiene)と一緒になり、
正式にLSHTMとして現在の場所に発足しました。

現在でも発展途上国とのネットワークを活かし、熱帯医学については
最先端の研究機関の一つです。

この分野は日本よりも英国のほうが長けていたため、私はこの学校に
留学することにしました。


■ キーワードは、“多様性”
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この学校の最大の特徴は、参加している学生の

“バックグランドの多様性”にあります。

私の参加している熱帯医学と国際保健のコースは、医師としての臨床
(患者さんの診察・治療)経験が入学の条件の一つにあるので、
30代〜40代前と比較的年齢層が高く、25人のクラスメイトの出身国は15カ国と、
とても国際的です。

学生の約半分が先進国、半分が途上国の出身で、これまでの経験は、
病院で臨床を行ったり、NGOに参加して途上国で医療活動をしたり、
国連機関や各国の保健省で行政などを担当していた人が多いです。

皆がそれぞれ豊富な経験を持っているので、クラスメイトとのディスカッションが
とても勉強になります。

逆に大学側からすると、多様性の価値観や経験をもった学生から
クラスへの貢献を求めて、コースワークの質をより豊かなものにしよう
と考えているように思います。


■ ITインフラの充実
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コースは、週日の朝から夕まで、講義と実習が半々の割合で行われます。
そして、その講義に使ったほとんどのスライドはイントラネット
(大学関係者のみがアクセスできるネット)のページ(通称「ブラックボード(黒板)」)
に張り出されます。

私はこの学校のこうしたITサポートをとても気に入っています。

校内にはコンピュータルーム以外に自分のコンピュータを無線LANで
つなぐ事のできる所がいくつかあり、手軽にインターネットにアクセスできます。

またブラックボードからは、各講義のスライドがいつでも手に入るだけでなく、
各科目担当教官からの連絡や過去の試験問題なども見ることができます。

図書館から借りた本は、返却期日近くになるとメールで連絡が来るのですが、
貸出期間を延長したい場合はインターネットでその手続きができますし、
私の次にその本を待っている人がいる場合はその連絡がメールで来るので、
安心して本を借りていられます。

こうしたITサポートはこれまでの学校生活では経験したことがなかったのですが、
その便利さを実感しています。

英国の建物は築数百年も経っているものが多くて、学校も築200年ほどの
建物なのですが、内装をリフォームして、最新式のプロジェクターシステムや
IT環境が整えられています。

実は、今建物の半分が工事中で、新しい内装がどのように生まれ変わるのか
今から楽しみです。


■ 忙しくも充実したコース構成と講義
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1年間は3学期(ターム)に分かれていて、毎年9月が新学期です。

ターム1は12月までの10週間で、私のコースでは「寄生虫・昆虫学」
「臨床講義、病院臨床」「熱帯医学の必須技術」「熱帯医学研究の分析と設計」
という必須科目と選択科目として「分子生物学」があります。

5週目を終えた時点でReading Weekとして1週間授業のない期間があり、
ここで前半の復習をすることになっています。

前回書いた「マラリア」は、この「寄生虫・昆虫学」の講義からのものでした。

どの科目も充実していますが、この「寄生虫・昆虫学」は非常にいい科目でした。

講義の後には実習があり、講義で習った病原体やそれを媒介する昆虫や虫を
実際に見るのですが、授業準備が周到にされており、多くの病原体を生きた状態で
観察でき、病気との関連がとてもわかりやすかったです。

アシスタントスタッフ達も20年以上この講義に関わっているので、
どの人に聞いても的確に答えてもらえ、非常に質のいい講義を受けることができました。

「臨床講義、病院実習」では、週に1日、病院で患者さんの診察ができ、
これまでに見たことのない感染症の患者さんを診ることができて、
貴重な経験になりました。

ターム2の10週間は2科目を5週間、そしてさらに2科目を5週間、
ターム3は2科目を5週間という構成で、ターム2と3で合計6科目を選択します。

ターム1の科目の評価は6月の試験で決まりますが、「寄生虫・昆虫学」は
実習の試験がターム1の最後にあります。
ターム2、3の科目は最終週に試験またはレポートの提出を行います。

これに研究プロジェクトのレポート(7,000〜10,000語)の評価を加えて
総合評価となります。

私のコースの場合、疾患名や病原体名など暗記するものが多く、
日々の暗記が大切だと思いました。

また、臨床実習では、症状から考えられる疾患を列記すること求められますので、
病名や病態名を英語で知っておく必要があります。


■ 入学申請書類と語学基準
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大学への出願はアプリケーションフォームを学校のページからダウンロードして
書き込みます。

志望理由や経歴ももこのフォームに記入するため、独自に書く必要はありませんが、
スペースが小さかったため、私は別用紙にプリントして提出しました。

このフォームの他に

履歴書、推薦状2通、大学時代の成績証明書、TOEFL/IELTSの成績証明書、財政能力証明書
(銀行残高証明、奨学金証明など)を同封して学校に郵送します。

推薦状は、一通は職場、一通は学校に書いていただきましたが、特に指定はありませんでした。

英語は、本年度はTOEFL CBT総合250点以上、かつWritingが5.0以上。
または、IELTS総合7、Writing7以上が応募基準でした。

英語のスコアはTOEFLでもIELTSでも認められるのですが、イギリスの大学院へ
申請する場合は、アメリカのTOEFLよりもIELTSを受験した方が心証がいいような
気がします。

出願時期は年中いつでもいいのですが、なるべく早く提出したほうが良いといわれています。


■ LSTHMと公衆衛生
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さて、話を再びLSHTMのコースに戻します。

LSHTMは公衆衛生分野でも有名です。

臨床医学が個人の健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会全体の健康を取り扱う分野で、
例えば、伝染病(感染症)予防・生活習慣病対策・公害対策・上下水道や食品衛生など
社会全体の健康に関わっています。

近代の公衆衛生の概念は、1854年にロンドンでコレラが流行したときに、
地図に患者の家をマークし、それから感染源となった上水道や井戸を
利用した人々を中心に感染が広がったことが感染源を特定するに至ったこと
(ジョン・スノーによる疾病地図の作成)に始まるといわれています。

当時はコレラが細菌による病気だということがわかっていなかったので、
患者の家を地図でマークしてコレラの感染源が飲み水だということを
突き止めるという発想は、とても画期的なものだったようです。

当時、ロンドンの下町は衛生状態が悪く、劣悪な住宅環境が一つの社会問題、
環境問題でもあったので、このコレラの流行以来、上下水道が整備され、
社会の健康のために公衆衛生が発展していきました。

日本も19世紀になってコレラが流行しましたが、明治期に近代的な
上水道建設の要望が出てきたのは、コレラ発生のためだったそうです。

私たちの日常は、安心して飲める水・下水処理、ごみで汚染されていない生活環境、
安心して食べられる食品、感染症の予防(ワクチン)制度など、
普段は気がつかないけれど、公衆衛生によって守られているのですね。

昨今、食品の安全が脅かされているニュースが目立ちますので、
消費者が関心を持つことで、より安心できる社会に近づけばと思っています。

公衆衛生を勉強するためにいくつかの科目が必要で、特に疫学、生物統計学、
医療制度といった科目が重要になってきます。
1月から2学期が始まり、私のコースでもいよいよこういった科目が始まります。

今日の話は以上ですが、今後のメルマガでもまた折をみながら
報告していきたいと思っています。

ご質問がある方はコメントやメールでもお気軽にご連絡くださいね。(くに)


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【3】ゆめげんドア
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今月のテーマについて更に詳しく知りたい方は、
次のウェブサイトをご参考にしてください。

■ ロンドン大学衛生・熱帯医学研究所のホームページ

http://www.lshtm.ac.uk/


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● 編集後記:世界から学生を集めるイギリスの力
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ゆめげんクリニック・プロジェクトのメールマガジン第3号は
いかがでしたでしょうか。

発行が1日遅れたため、元旦発行の新年第一号となりました。

ロンドン大学には今回ご紹介したLSHTM以外にもユニヴァーシティ・カレッジ
(UCL) 、スクール・オブ・エコノミクス (LSE) 、東洋アフリカ研究学院 (SOAS) 、
インペリアル・カレッジ、ロンドン・ビジネス・スクール (LBS) など20のカレッジ
などがあり、各カレッジは独立した大学として運営されている大学の連合体です。

さてここで突然ですが、クイズです。

ロンドン大学の学長は誰が務めているかご存知ですか?(答えは本欄の最後)


1980−90年代は日本人留学生が留学生の中でも多数派を占めていたようですが、
最近では中国人留学生がクラスの大半を占めるようなコースも多々あると聞いています。

それにしても、イギリスは世界から留学生を『戦略的にリクルート』
していると思います。

「英語」の強みを最大限に活かして、ブリティッシュ・カウンシルなどと
連携しながら留学生を集め、それが大学の研究や学生生活に多様性による
魅力を生み出しています。

植民地政策の一環として始まった通信教育などのコースも豊富で、
海外でも学期試験を受けることができ、キャンパスに通うのと同等の学位を
とることもできます。

日常の生活に関しては、イギリスよりも絶対に日本の方が、サービスや
製品の価格が安くて、質が高くそして便利で快適です。何よりイギリスでは
「外国人」として暮らすことの不自由さは常につきまといます。

しかし一方、大学生活については、イギリスの方が刺激的に感じます。

もちろん、留学生を多く受け入れるということによって価値観や文化の
多様性が社会に短期的に与える負のインパクトもありますが、その社会の
柔軟性や足腰を鍛えることになり長期的にはプラスの方が大きいと思います。

時々、イギリスが世界中から学生を集めているのを少し悔しく思うことが
あります。

日本に来られる留学生にとっては、「日本語」という言葉の壁がありますが、
世界から質の高い留学生をバランスよく受け入れて、日本社会も彼らから
学んだり、卒業後の留学生とのネットワークを外交や国際ビジネスなどでも
どんどん活用していくような戦略を強化していかなければいけないと強く
感じています。

さて、次号ですが、1月28日に

「家庭医療」

をテーマで発行する予定です。次回もどうぞお楽しみに!

それでは、どうぞ楽しいお正月をお過ごしください。(よし)

【クイズの答え】
ロンドン大学は王立/国立なので、学長は、ロイヤル・ファミリーから選出されます。
現在は、エリザベスII女王の娘であるアン王女が務めています。

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