2007年11月26日発行
━━☆ 夢現 ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ゆめげんクリニック・プロジェクト メールマガジン Vol.2
http://jin-i.com/yumegen
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みなさま、こんにちは。
ゆめげんクリニック・プロジェクト事務局の中山です。
本メールマガジンは、「ゆめげんクリニック・プロジェクト」の
ホームページまたはメルマガポータルサイト「まぐまぐ」から
ご登録いただいたみなさま及びパートナー企業・医療機関のみなさま、
そして、当法人事務局スタッフが名刺交換させていただいたみなさまに
お送りしている情報メールマガジンです。
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● もくじ
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【1】はじめに
【2】今月のテーマ:マラリア
【3】ゆめげんドア
● 編集後記
【1】はじめに
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みなさま、
寒くなってきましたがいかがお過ごしですか。
今年も早いもので残りあと1ヶ月ですね。
クリスマス休暇、または正月のお休みを利用して
海外旅行を予定されている方もいらっしゃると思います。
観光白書によると、近年、日本人の海外旅行客数は
年間1,600〜1,800万人で推移しているそうです
これは、海外旅行客数の世界ランキングで第○位!
(下の【参考】をご参照ください。
意外な国が日本より上だったり、おもしろい統計ですよ。)
旅行先も、アメリカや中国、韓国、タイなどアジアだけでなく、
ヨーロッパや中東、南米、そしてアフリカ地域などさまざまです。
海外旅行客と旅行先の拡大は、日本人の好奇心の大きさと、
海外旅行を可能にする日本の経済力の大きさを示していると思います。
さて、今日のテーマはこの海外旅行とも関係の深い話題です。
ご一読いただければ幸いです。
【参考】海外旅行客数の世界ランキング:
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/7212.html
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【2】今月のテーマ:マラリア
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みなさま、こんにちは。
私は今、イギリスで感染症・・・
特に熱帯から亜熱帯気候の暖かい地域における感染症を勉強しています。
熱帯地域の感染症が、なぜ緯度では日本よりも北に位置するイギリスで
勉強できるのか不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
イギリスは歴史的にアフリカなどの熱帯地方とのつながりの
とても深い国で、この分野の研究がとても盛んなのです。
現在でもアフリカやインドなどとの貿易や人の往来が活発に行われており、
旅行や仕事で熱帯地域を訪問または長期滞在をした際に、感染症にかかって
入院する患者さんが多いのです。
その他にもイギリスに移住している熱帯地方の国を母国とする人が、
親戚に会いに休暇で帰り、イギリスに帰国後に病気を発症する例も
少なくありません。
私がこの分野をもっと勉強したいと思うようになったのは、
数年前にアフリカのマラウィ共和国で医師として働いたことがきっかけです。
(参照:http://jin-i.com/yumegen/staff/nakayama-kuniko)
それに加え、日本国内においても海外旅行をする人の増加に伴って
こういった感染症にかかる人が増えていること、
更に地球温暖化の影響によって、暖かい地方の感染症が
より広い範囲に広がってきましたので、
今後、日本でも話題になってくる分野だと感じていることが理由です。
今日はその分野のなかで一番多くの人が感染している
「マラリア」についてお話ししたいと思います。
■ マラリアと地球温暖化
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マラリアは世界でなんと
年間のべ5億人が感染し、150万人が亡くなっている病気です。
しかも、2歳児が最も死亡率の高い年齢層という
「子どもを死に追いやる病」なのです。
日本ではあまり聞き慣れない病気ですが、海外旅行先で感染したり、
空港近くで感染したりすることがあります。
この空港近くで感染するマラリアを「エアポートマラリア」と呼びます。
マラリアを持った蚊が飛行機に乗って日本国内に入り、
空港の近くで人を感染させてしまうマラリアのことです。
マラリアは、マラリアを持っている蚊に刺されることによって感染します。
この蚊(アノフェレス属)は暖かいところに住んでいるので、
マラリアが暖かい地域に限られるのはそのためなのです。
蚊はマラリアに感染している人を刺した時に、
人からマラリア原虫をもらい、蚊の中でそれが成長して、
その蚊が再び人を刺すときに人の体内にマラリアが入り感染します。
最近、地球温暖化現象が注目されていますが、
この温暖化はマラリアにも影響を及ぼしています。
マラリアを媒介する蚊は、冬の平均気温が
摂氏15℃以上でないと生きていられません。
そして、だいたい20℃〜30℃、そして湿度が60%の時に
マラリアを感染できる環境になると言われています。
さらに、暖かくなるほど蚊の中でのマラリアの成長が早まり、
人がマラリアに感染する機会が増えていきます。
都市の地下など、冬場でも暖かいところがあれば、
蚊が越冬できるようになり地球温暖化と都市化が
マラリアを広げているのです。
例えば、最近、お隣の韓国では、国内でマラリアの感染があった
という報告がありました。
いよいよ地球温暖化の影響がマラリアにおいても出てきました。
■ マラリアの予防方法
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これをお読みの方の中には、この冬に休暇などで暖かい地域に
海外旅行される方がいらっしゃると思いますので、
簡単にマラリアの予防方法をお伝えします。
● 虫よけスプレーを常用する
特に夜の外出時には必ず露出する肌にかけてください。
洋服の上からスプレーをかけるのも効果があります。
また、なるべく肌を露出しない服を着るといいでしょう。
● 寝るときに蚊帳を使う
夜寝ているときに蚊に刺されることが多いので、
蚊帳を使えば安心です。蚊取り線香も有効です。
●予防薬を飲む
マラリアに感染しないように、あらかじめ予防薬を飲んでおく。
日本ではメフロキン、ドキシサイクリンという薬が予防薬として
入手可能です。
実際の服用については、かかりつけ医にご相談ください。
また、こちらのサイトもたいへん参考になります。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/html/04_mararia_02_09.html
(東京大学医科学研究所 感染症内科)
私が日本で診察したマラリアの患者さんは、
海外旅行から帰国した後の発熱がきっかけで受診されていました。
何人かの方は、熱の原因がわからず、
ほかの病院から紹介されて来られていました。
日本では発熱と聞いて、まず最初に
「マラリアかな・・・?」
と疑うことは少ないので、どうしても見落とされがちですね。
正確な診断のために、病院に行ったら
「旅行の期間、場所」について、
医師に質問されなくてもご自分から伝えてくださいね。
マラリアの治療薬は数種類ありますが、
薬に対して抵抗力をもつマラリアが世界中に蔓延し始め、
特にアジアでは薬が効きにくくなっているものがあります。
マラリアは、まずは予防第一。
暖かい地方に行くときは、虫刺されに注意しましょう。
以上、今回は、感染症の中でもマラリアについてのお話でした。
マラリアや地球温暖化と私たちの健康の関係について
もっと詳しく知りたい!という方は、
下の「ゆめげんドア」に載っているウェブサイトもご参考にしてください。
これから年末に向けて、忙しくなる季節です。
みなさま、くれぐれもお体に気をつけてお過ごしくださいね。(くに)
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【3】ゆめげんドア
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今月のテーマについて更に詳しく知りたい方は、
次のウェブサイトをご参考にしてください。
■ 厚生労働省検疫所 海外感染症情報:
マラリアの基本情報が載っています。
http://www.forth.go.jp/tourist/kansen/07_mala.html
■ 感染症情報センター 感染症の話:
マラリアの症状、診断、治療などが詳しく書かれています。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k05/k05_04/k05_04.html
■『Planetary Overload: Global Environmental Change and
the Health of the Human Species』 A.J.McMichael著
地球温暖化による環境変化と病気・健康への影響についての本です。
Amazon.co.jpなどでは「Planetary Overload」で検索すると出てきます。
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● 編集後記:マラリア撲滅の日を夢みて
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ゆめげんクリニック・プロジェクトのメールマガジン第2号は
いかがでしたでしょうか。
マラリア・・・
この4文字を聞くと、ほろ苦い気持ちになります。
(そういう人はあまり多くはないと思いますが・・・)
上で「マラリアの予防方法」を書いた「くに」自身、
一度マラリアにかかっています。
そういう私も人に忠告できる資格はありません・・・(冷汗)
実は、二人とも過去にマラリアで痛い目にあった経験があるのです。
また、私自身、子どもたちや一緒に働いていた同僚たちが
マラリアで亡くなっていくのを何度も何度も目にしてきました。
だから、マラリアは、私にとってとても「憎い病気」でもあります。
この感染症が世界から根絶される日が
一日も早く来る日を心から願っている一人です。
マラリアの流行地域に旅行される方の中には、
「短期の旅行だから大丈夫だよ」
と言われる方がたまにいらっしゃいます。
でも、マラリアは体力が弱っている時は特に発症しやすいので
時間的に余裕がない短期の出張や旅行では、
逆にとても気をつける必要があると思います。
初期の症状は、一般の風邪となかなか見分けがつかないので、
無理をせず、マラリアを決して甘く見ないで
すぐにかかりつけ医に相談してくださいね。
以上、「経験者は語る」でした。
なお、「ゆめげんクリニック」では、マラリアなど
旅行で注意しなければいけない病気についても
しっかりと対応できるようにしたい、と考えています。
さて、次号ですが、年の瀬の12月31日に
「ロンドン大学 衛生熱帯医学部について」
をテーマに発行予定です。
(大晦日ですので、その日は誰も読んでくれないかもしれませんが、
年明けにでもどうぞお読みくださいね!)
それでは、次回もどうぞお楽しみに!(よし)
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