みんなが夢を実現していくマイファミリークリニック蒲郡

エコノミー症候群

  1. エコノミー症候群とは?
  2. どんなときに起こりやすいのか?
  3. どんな人がかかりやすいのでしょう?
  4. 症状と予防方法

1. エコノミー症候群とは?

エコノミー症候群とは足の静脈(血管)にできた血の塊(血栓)が、血管の中を流れて肺にたどり着き、そこで詰まってしまう病気です。

肺の血管が詰まると、息苦しくなります。太い血管に詰まると、肺の広い範囲に血液が流れなくなり、重症の場合には命を落としてしまうこともあります。

この足にできる血栓は、長時間、同じ姿勢で座ったままでいることによって、足の静脈の血が流れにくくなってできてしまいます。

特に、座席の狭いエコノミークラスで発病する確率が高いと思われているために、「エコノミークラス症候群」と呼ばれるようになりました。

しかし、この病気は飛行機のエコノミークラスに限らず、ビジネスクラスなどを利用していても起こります。

また、飛行機による旅行以外でも起こりますので「飛行機の旅行ではないから心配する必要がない」と病気の名称から受ける印象で判断してしまうのには注意が必要です。

2. どんなときに起こりやすいのか?

飛行機の中は湿度が20~30%と低いです。

また空気が乾燥していますので体からは汗や息、尿などでたくさんの水分が失われてしまいます。

更に飲酒をする場合には通常よりも尿が増えます。

これらの理由により、飛行機による移動中には血栓ができやすくなるといわれています。

実際、フライト時間が長くなるとリスクが高くなります。

飛行距離が5,000km以下の場合と10,000km以上を比較すると、エコノミー症候群にかかるリスクは約50倍にもなります。(5,000km以下:0.1/10,000, 10,000km以上:4.8/10,000)

しかし、飛行機以外の電車や車、船などによる移動中でも発生することがあるのです。

例えば、タクシー運転手や長距離トラック運転手のように長時間同じ姿勢で座ってすることを特徴とする職業に従事される方々の間でも起こります。

また、2004年に新潟県で中越地震が起きましたが、その時に、自動車の中で避難生活を送る人たちの中に、エコノミークラス症候群の疑いで死亡するケースが相次いだそうです。

車の座席で長時間座り、夜間は狭い室内でなかなか寝返りを打つことができないことが原因だったようです。

時代はさかのぼり、第二次世界大戦中の英国でも同じようなことが起こったという記録が残っています。

防空壕の中で避難生活している人は通常の6倍もの人がエコノミー症候群になったそうです。

狭い所で同じ姿勢で息を潜めていたのでしょうね。また、その中でもベンチに座っていた人は、狭い空間の中で同じ姿勢を余儀なくされ、発症率がさらに高かったそうです。

3. どんな人がかかりやすいのでしょう?

では、エコノミー症候群はどのような人がかかりやすいのでしょう。以下のような方々は、十分な注意が必要です。

  • 中高年者 年齢は40歳以降、高齢になればなるほどリスクは増えます。

  • 血液が固まりやすい方 つまり、妊娠・出産後、経口避妊薬を服用中の方、先天性凝固異常症、がんなどの悪性疾患にかかっている方は、注意が必要です。

  • 血流の停滞した状態の生活環境にある方 長い時間、座らざるを得ない仕事をされている場合。下肢の静脈瘤(ふくらはぎの辺りに累々と膨れいている血管が見える)のある方。骨折後ギブス固定している方。

  • 血管の壁に障害がある方 動脈硬化、糖尿病、高脂血症、高血圧症、手術・骨折直後の場合は、それが引き金になって中の血液が固まりやすくなることがあります。

4. 症状と予防方法

軽い症状の場合は、片側の足(特にひざの裏)のむくみや痛みがあります。

逆に症状が重い場合には、足にできた血の固まりが肺に詰まり、息が苦しくなり、胸の痛みを訴えて失神することがあります。

ここで是非、心に留めていただきたいのはエコノミー症候群は、『移動中(機内、車内)だけでなく、旅行後1週間以内にも起こる』ということです。

ですから、旅行中だけでなく、旅行後のケアもとても大切なのです。

足の腫れや痛みでは、多くの方が整形外科を受診すると思いますが、長時間飛行機や電車などに乗った後でしたら、血管外科や循環器科を受診すると良いでしょう。

もし、お近くにない場合は、家庭医に相談して専門医を紹介してもらうとよろしいかと思います。

症状が重篤な場合、突然死の原因にもなる怖い病気ですが、もちろん予防することは可能です。例えば、

  • 定期的に足をマッサージや運動をする 足を曲げたままの状態を長時間続けることを避ける、ということです。

  • 適度な水分を摂る 1時間に150ml以上が目安です。

  • アルコールやカフェインは適度にとる 上に書いたようにかかりやすいタイプに自分が該当するな、と思われる方は、なるべく控えた方がよろしいかと思います。

  • ゆったりとした服装で旅行する できるだけ血流を良くするためです。

  • 時々深呼吸をする 深呼吸をすることで、静脈の血流を促すことができます。

  • 弾力ストッキング(20-30mmHg ハイソックスタイプ)を履く 特に下肢静脈瘤、経口避妊薬を内服中、妊娠・出産直後、下肢の麻痺がある場合は有効です。

その他、治療中の疾患がある場合、以前、エコノミー症候群になったことのある方は、旅行前に医師にご相談ください。

怖い病気も予防すれば大丈夫。夏休みに長距離の移動を予定されている方は上記の予防を参考にしてください。

(注)エコノミー症候群の正式名称は「深部静脈血栓症、急性肺動脈血栓塞栓症」

参考文献

更に詳しく知りたい方は、次のウェブサイトをご参考にしてください。

  1. 日本渡航医学会: 旅行者血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について

  2. 日本旅行医学会:ロングフライト血栓症(LFT)