みんなが夢を実現していくマイファミリークリニック蒲郡

家庭医療

 ファミリーツリーのイラスト

「マイファミリークリニック」
私と私の家族のための、家庭医による診療所

1. 家庭医療・家庭医の守備範囲

これから、私たちの診療所で「家庭医療」という言葉にこだわっている理由についてお話したいと思います。

現在、診療所や病院といった医療機関で診療できる科目として国が定めている分類には、以下のように3つがあります。

  1. 診察をする対象に基づくもの
    (例:子どもを診る小児科、女性や妊産婦を診る産婦人科など)

  2. 疾患の場所、体の部位に基づくもの
    (例:皮膚科や耳鼻咽喉科など)

  3. 医療の方法に基づくもの
    (例:麻酔科や外科(手術)など)

実際には、これらが更に入り乱れ、複雑に分かれて表示、標榜されています。

「家庭医療」は、そうした分類とは一線を画した特徴を持っています。

「家庭医療」は上記の分類では当てはまらない、または収まりきれない医療で、それぞれの地域で求められているものによって家庭医の範囲は異なってくるのです。

例えば、TV番組の「Dr.コトー診療所」。

実在する医師をモデルにしたドクター・コトーは、医療資源の不足する鹿児島県の離島で、そこに住む住民、患者さんをたった一人で診ます。彼は、まさに「家庭医」です。
一方、多くの医療機関が存在する東京のような大都市にも地域に根ざした医療を行っている「家庭医」はたくさんいます。

地方と都市、それぞれの場所で求められる医療の内容は異なりますので、家庭医の行う医療も異なります。でも、いずれも「家庭医療」と呼びます。「家庭医療は家庭医の提供する医療である」といわれる所以(ゆえん)です。

2. 高まる社会的な要請

今、「家庭医療」という分野が注目されていますが、その背景には、医療を取り巻く社会的な要請があります。

年配の方とお話をしていると、「昔は、子どもでも大人でも、怪我でも病気でも○○先生のところで診てもらったものでした」という声をよく耳にします。昔の医者はほとんど何でも診ていました。しかし、現代の医学の急激な進歩とともに専門医教育が重視され、体の部位ごと(臓器別)や子どもや大人、女性といった対象別に診る疾患を限って、専門性をきわめていく事が医師として一人前と考えられるようになってきました。

患者さんの側も、「先生の専門は何ですか?」「専門の先生に診てもらわないとダメ」と考えるようになってきたのではないでしょうか。

その結果、ちょっとした発熱や怪我でも大学病院や自治体病院といった大病院の一般外来や救急外来にいってしまい、勤務医の先生も長時間労働で疲弊し、それらの病院が本来担うべき、専門的な医療ができなくなってきてしまいました。

しかし、地域における健康問題を考えた時、統計によると一般病院への入院が必要な人は一ヶ月で1,000人に9人ほど、大学病院への受診が必要な人は1,000人に1人、入院が必要な人は1,000人に0.3人ほどしかいないといわれています。

国民の医療問題の解決方法

また、いろいろな疾患をかかえる高齢者にとっては、専門外来をいくつも回らなければならなかったり、違う曜日に何度も病院に行かなければならなかったりすることは不便で、薬の量も多くなり、副作用の心配も増えます。

今後、一般的な健康問題については、最初に「家庭医」に受診することで、受診の負担を少なく、検査や薬の重複を減らしていくことができていくでしょう。また、検査や診察の結果によっては必要に応じて、家庭医から専門医の先生に引き継ぐことで、専門医は、自分の専門領域の治療や専門的な検査に専念することができていくでしょう。

3. 家族志向型ケアー「家族みんな」のかかりつけ医

次に、家族みんなを診ることができる「かかりつけ医」「家庭医」をもつことのメリットについて例を挙げてお話をします。

同じ屋根の下に暮らす家族でも、例えば、子どもは小児科、お父さんは内科、お母さんは婦人科、おじいちゃんおばあちゃんは消化器内科や整形外科の診療所といったように「それぞれのかかりつけ医」はあったとしても、家族みんなの健康についてトータルに、そして継続的に知っている「家族みんなのかかりつけ医」は、以前ほど存在しません。

例えば、腹痛を訴える子どもがいるとします。その原因が単純にその子がアイスクリームを食べ過ぎただけ、ボールか何かをぶつけただけ、といったその子の体だけが原因の場合もあるでしょう。

でも、もしその原因が、家族の中でのストレスだったり、もしかすると子どもを病院に連れてきているお母さんの心身の調子が悪いことが子どもの体に影響を与えたりしているかもしれません。

すなわち、人間の病気の原因には、その人自身によるもの、家族環境によるもの、更に社会環境によるものが複雑に絡んでいます。

上の例では、家庭医は、腹痛を訴えている子どもを診察し、その原因が子どもを超えたところかもしれない、と判断すれば、一緒にいるお母さんに家族の状況や学校などの環境についても踏み込んだコミュニケーションをとり、より深い医療を行う事ができます。場合によっては、子どもとお母さんを一緒に診察することもできるのです。

このように、病気には患者さんの価値観、人生観、家族の状況が影響することがよくあります。

なぜ、このよう病気にかかったのか、その病気が患者さん、そしてその家族にとってどういう意味を持つのかを考え、患者さん自身だけでな、その家族のみなさんとともに今後の治療やサポートについて決めていきます。

これを「家族志向型のケア」(Family –Oriented Care)と呼びます。

すなわち、家庭医は、家族との関わりを医療の根本に据えて、よりよいケアを提供する事に取り組んでいる専門家とも呼ぶことができます。

4. 「地域社会」のかかりつけ医

そしてもう一つ家庭医の役割について付け加えますと、家庭医は地域の保健や福祉、健康増進にも積極的に関わっていることが挙げられます。

なぜなら、先に子どもの腹痛の例で、その原因には社会環境も影響しているかもしれないと述べたように、健康問題は個人の生活習慣や遺伝によるものだけでなく、地域社会やその中での人間関係、文化の影響も大きく受けているからです。

喫煙の例をあげましょう。

例えば、勤めている会社では、多くの従業員が喫煙しているとします。そのような環境で、一人禁煙を貫くことは「つきあい」や「少数派」として時として難しいものです。こういう場合には、診療所で一人一人の喫煙者に熱心に禁煙を推奨するよりも、職場を分煙とするように経営者や地方自治体に働きかける方が有効な方法かもしれません。

このように、地域住民の考え方や生活習慣、慣習、行政制度など様々な社会システムに家庭医は関わっていきながら、その地域全体の健康増進を考えていきます。

 Engelの生物心理社会的医学モデルの図

5. まとめ

最後に、ここで述べた「家庭医」についてまとめますと、

まず、家庭医はあなたの、そして、あなたの家族みんなの「かかりつけ医」として、健康について気楽に相談できる身近な存在であること、

病気の時だけでなく、予防から回復まで継続的に患者さんと関わりを持つこと、

臓器に関係なく心の問題も含めて、その人全体を包括的に診ること、

また、患者さんだけでなく、その背景にある家族環境や社会環境も考慮して診ること、

更に、地域の様々な人々と協力して保健・医療・福祉・介護に関わり、地域全体の健康増進に取り組んでいること 

になります。

すなわち、家庭医とは

『家族みんなの、そして、地域社会の「かかりつけ医」』

といえるのです。